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耐震構造とは?免震・制振との違いからメリット・デメリットまで解説

2025.02.13

家を建てるときに、地震への備えをしておきたいと考える人は少なくありません。日本は地震が多いため、安心して暮らせる家を建てるには、建物の構造を理解しておきたいものです。

中でも、「耐震構造」は地震対策の基本として、注目されています。しかし、免震や制振など他の構造もある中で、どの構造がいいのか迷ってしまうこともあるでしょう。

そこで本記事では、耐震構造について、免震・制振との違いも踏まえて解説します。耐震構造のメリット・デメリットや耐震等級についても紹介しますので、ぜひご一読ください。

耐震構造とは

耐震構造とは、地震による水平方向の揺れに耐えられるよう設計された建物の構造のことです。具体的には、建物自体を頑丈にすることで、大きな地震の揺れにも耐えられるようにしています。

耐震・免震・制振の違い

地震対策には「耐震」「制震」「免震」の3つの構造があり、それぞれ目的や特徴が異なります。ここでは、それぞれの構造の違いを詳しく見ていきましょう。

揺れに「耐える」耐震構造

前述した通り、耐震構造は建物自体を頑丈にして揺れに耐える構造のことです。例えば、木造住宅では柱や梁の補強をしたり、筋交いと呼ばれる柱と柱の間に対角線に入れる材料を設置して、揺れによる倒壊を防ぎます。

揺れを「吸収する」制震構造

制震構造は、建物内部にダンパーを設置して揺れを吸収する仕組みです。高層の建築物や鉄骨住宅などで取り入れられるケースが多く、揺れによる被害を軽減させる構造です。

戸建住宅にも普及が進んでいますが、建築コストはやや高めです。

揺れを「伝えない」免震構造

免震構造は、建物と地面の間に免震装置を設置し、揺れを建物に伝えない構造です。免震構造の建物は揺れが軽減されるため、室内への被害も少なくなります。

導入コストが高いこともあり、住宅で採用されるケースはあまり多くありません。

耐震構造のメリット

住宅では耐震構造を取り入れている建築会社が多いため、どのような魅力があるのか知っておきたいものです。主なメリットには、以下の3つがあります。

  • 建築コストを抑えられる
  • 台風・強風にも強い
  • 設計の自由度が高い

1つずつ、詳しく解説します。

建築コストを抑えられる

耐震構造のメリットの1つは、制震構造や免震構造に比べて建築コストを抑えられる点です。免震装置や制振ダンパーといった特殊な装置を取り付けることなく、耐震性を高めることができます。

なお、現行の新耐震基準では、最低でも耐震等級1相当の耐震性を備えることが義務付けられているため、今から新築住宅を建てるときには、最低限の耐震基準を満たしていることになります。

また、費用はかかりますが、耐震等級2や3などの、より高い耐震性能を持つ住宅にすることも可能です。コストを抑えつつ地震に対する十分な安全性を確保できるのが、耐震構造の大きな魅力です。

台風・強風にも強い

耐震構造の住宅は、地震による横揺れに耐えるための構造をしているため、台風や強風にも強いというメリットがあります。例えば、横風や、吹き付ける突風にも効果を発揮します。

そのため、台風のときにも、屋根や外壁の損傷、窓の破損といった建物被害も抑えられるでしょう。

設計の自由度が高い

耐震構造の住宅は、設計の自由度が高いというのもメリットです。耐震構造は、建物自体を頑丈にすることで地震の揺れに耐える仕組みであるため、土地の広さや地盤の影響を受けづらく、さまざまな敷地の条件に対応できます。

また、耐震構造は基本的に建物の内部に特別な装置を設置しないため、外観デザインや間取りの選択肢も広がります。

耐震構造のデメリット

耐震構造にするには、事前にデメリットも把握しておきたいものです。主なデメリットには、以下の3つがあります。

  • 揺れの影響を受けやすい
  • 繰り返しの揺れに弱い
  • 室内の安全対策が必要になる

それぞれ、詳しく解説します。

揺れの影響を受けやすい

耐震構造のデメリットの1つに、地震の揺れの影響を受けやすいことが挙げられます。耐震構造は、建物自体の強度を高めることで倒壊を防ぐ仕組みですが、地震そのものの揺れを軽減する効果はありません。

そのため、建物が無事でも、室内では大きな揺れを感じることがあります。上階に行くほど揺れが大きくなり、家具や家電の転倒が起こるリスクもあるため、対策が必要です。

繰り返しの揺れに弱い

耐震構造のデメリットの1つに、繰り返しの揺れに弱い点があります。耐震構造は建物自体を頑丈に作り、地震のエネルギーを直接受け止める設計ですが、地震が起きるたびに建物にダメージが蓄積されていきます。

一度の地震では倒壊を防げたとしても、何度も揺れを受けることで、ひび割れや構造部材の劣化が進み、建物の耐久性が低下する場合もあります。

そのため、耐震構造の建物は、地震後の点検や補修は欠かせません。維持管理にコストがかかることは、理解しておきましょう。

室内の安全対策が必要になる

耐震構造のデメリットとして、室内の安全対策が必要になる点が挙げられます。大きな揺れによって家具や家電が転倒すると、怪我をする可能性もあり、避難の妨げになるなど二次災害が起こる可能性があります。

また、転倒した家電が火災の原因になる可能性も否定できません。このようなリスクを防ぐためには、家具を壁に固定したり、滑り止めシートを使用したりするなど、室内の地震対策をしておくことが大切です。

耐震構造の住宅で安心して暮らすためには、建物の安全性だけでなく、室内の安全対策も並行して行いましょう。

家を建てるなら知っておきたい「耐震等級」

地震に強い家を建てたいと考えたときには、耐震等級について理解しておくことが大切です。耐震等級とは、建物の耐震性能を示す指標で、「住宅性能表示制度」に基づいて定められている指標のことです。

耐震等級1
  • 震度6強~7程度の、数百年に一度の大地震でも倒壊しない最低限の耐震性能
  • 震度5程度の、数十年に一度の地震では、損傷を受けにくい仕様
耐震等級2
  • 耐震等級1の1.25倍の地震に耐えられる性能
  • 避難所となる学校や病院に採用されている基準
  • 長期優良住宅の認定要件にもなっている
耐震等級3
  • 耐震等級1の1.5倍の地震に耐えられる最高等級
  • 災害時に拠点となる警察署や消防署などに採用されている
  • 大地震後でも、住み続けられる程度の耐震性能を備えている

    耐震等級は、3段階に分類されており、数字が大きいほど耐震性が高いことを示しています。等級1は数百年に一度の地震(震度6強~7程度)で倒壊を防ぐ最低基準、等級2はその1.25倍の耐震性能があり、避難所となる学校や病院などに求められる基準です。

    最高等級である等級3は、等級1の1.5倍の地震に耐えられる性能で、警察署や消防署など重要施設にも採用されています。

    新築住宅の耐震性能を考えたときには、どの耐震等級を取得すべきか、是非着目してみてください。

    耐震性の高い家を建てるなら専門家に相談しよう

    耐震構造は、建築コストを抑えながら建物の安全性を高める構造で、免震構造や制振構造は揺れそのものを軽減する構造です。

    それぞれに特徴があるため、建物の用途や立地条件にあわせて選ぶことが大切です。また、新築住宅を建てるときには、耐震等級にも着目してみてください。自分の家を建てる地域では、どの程度の耐震等級を考えておくべきなのか迷ったときには、専門家のアドバイスを受けることも有効です。

    耐震性の高い家づくりがしたいと考えたときには、建築会社などプロに相談してみましょう。

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