家を建てるにあたって、建設費などの初期費用だけでなく、将来のメンテナンス費用も考慮する必要があります。メンテナンス費用が抑えられれば、長い目で見て負担が軽減され、より少ない費用で快適な暮らしが実現できます。
一般的に、平屋は二階建てよりメンテナンス費用が安いといわれていますが、果たして本当にそうなのでしょうか。
この記事では、平屋のメンテナンス費用が安いとされる理由や、平屋のメリット・デメリット、長持ちさせるためのお手入れのポイントについて詳しく解説します。
これから平屋を建てようか検討している方は、ぜひ参考になさってください。
平屋と二階建てではどちらのメンテナンス費用が安い?
平屋と二階建てでは、平屋のメンテナンス費用の方が安いといわれています。
同じ延べ床面積を確保する場合、平屋は基礎部分の面積が大きくなるため、建設費は二階建てよりも高くなる傾向があります。しかし、平屋の方がメンテナンス費用が安く済むことが多く、長く住む想定で考えると、トータルコストは平屋の方が安くなることも少なくありません。
そのため、家を建てる際は建設費などのイニシャルコストだけでなく、先々のメンテナンス費用も含めて慎重に検討することが大切です。
平屋のメンテナンス費用が安い理由とは?
平屋のメンテナンス費用が安い理由は、主に以下の4つに分けられます。
- 修繕用の足場代が安い
- 外壁の修繕費が安い
- 家が軽量で傷みにくい
- 設備が最小限で修理負担が少ない
それぞれの詳細について、順に確認していきましょう。
理由①:修繕用の足場代が安い
平屋のメンテナンス費用が安い1つ目の理由は、修繕用の足場代が安いからです。
家は人間の背丈より大きいため、屋根や外壁、外部にある設備を修繕する際には、職人の手が届くように足場を組まなければなりません。その際、二階建て以上の家だと、高く丈夫な足場を組まなければならず、足場代だけで相当な金額になり、修繕費がかさむ原因になります。
一方で、平屋は二階建てほど高くないため、足場を組まずに屋根や外壁を修繕できたり、組んだとしても小規模のもので済んだりします。その結果、足場代の分だけメンテナンス費用が安くなるのです。
理由②:外壁の修繕費が安い
平屋のメンテナンス費用が安い理由には、外壁の修繕費が安いことも関係しています。
外壁には様々な素材が使われますが、見た目や機能性を高めるために塗装が施されることが多いです。しかし、塗装は経年によって劣化するため、10~20年ごとに塗り替えなどの修繕が必要になります。
その際、平屋は二階建てに比べて外壁の面積が小さいため、修繕費が安く済みます。また、外壁塗装時は足場が必要になることもありますが、前述のように足場代も高くないため、結果的にメンテナンス費用が安くなります。
理由③:家が軽量で傷みにくい
平屋のメンテナンス費用が安い3つ目の理由は、家が軽量で傷みにくいからです。
家の構造は工法によって異なりますが、たいていは柱や壁で家全体の重さを支えています。その際、階数が増えれば増えるだけ重量が増すため、柱や壁にかかる負荷が増し、経年によって傾いたり歪んだりする可能性が高まります。
しかし、平屋は1フロアしかないため、柱や壁にかかる負荷が最小限に抑えられます。その結果、10年20年と住み続けても家が傷みにくく、メンテナンス費用を安く抑えることができます。
理由④:設備が最小限で修理負担が少ない
平屋のメンテナンス費用が安い理由として、設備が最小限で修理負担が少ない点も重要です。
二階建ての場合、住み心地を確保するためには二階部分にも水道を通したり、エアコンを設置したりする必要があります。設備の数が増えれば増えるほど、長年使い続けることで、故障や不具合が生じるリスクは高まります。
しかし、平屋は1フロアで全生活が完結するため、二階建てに比べて少ない設備で快適な暮らしが送れます。設備が少ない分、もし将来的に故障や不具合が生じたとしても、少ない費用で修理できるため安心です。
また、設備が最小限で済む結果、光熱費もあまりかからず、ランニングコストも安く抑えられるでしょう。
メンテナンス費用以外で得られる平屋のメリット
以上見てきたように、メンテナンス費用が安いことは、平屋の大きなメリットです。しかし、平屋には他にもさまざまなメリットがあります。
ここでは、メンテナンス費用の安さ以外の代表的なメリットを5つご紹介します。
メリット①:バリアフリー化しやすい
平屋には、バリアフリー化しやすいメリットがあります。
バリアフリーとは、生活の障壁(バリア)になり得るものを取り除くことを意味します。バリアフリーはもともと、高齢者や障がい者にとって暮らしやすい家づくりのための概念ですが、子どもにも安全であることから、子育て世代にも人気があります。
平屋には二階以上がないため、階段を設置する必要がありません。そのため、家の中の段差を最小限に抑えられ、比較的簡単にバリアフリー住宅を実現できます。
メリット②:生活・家事動線が短くなる
平屋のメリットとして、生活・家事動線が短くなる点も挙げられます。
たとえば、二階建ての場合、洗濯機が一階にあり、干し場が二階にあると、洗濯の度に階段の昇り降りが生じ、動線が垂直方向に長くなってしまいます。
しかし、平屋では生活・家事のすべてが一階のみで完結するため、動線が全体的に短くなります。また、洗濯機置き場と干し場を隣接させるなど、間取りにも工夫を凝らせば、更に生活しやすい家にできるでしょう。
メリット③:自由度の高い間取りを実現できる
平屋の3つ目のメリットは、自由度の高い間取りを実現できることです。
二階建て以上の家だと、上階を支えるために十分な数の柱と壁を配置する必要があり、その位置もある程度決まってしまいます。しかし、平屋は上階を支える必要がないため、柱と壁を最小限にして、希望に合ったおしゃれな間取りにできます。
たとえば、上部を吹き抜けにして開放的なリビング・ダイニングにしたり、小屋裏空間を秘密基地にしたりと、アイデア次第で色々なデザインを実現できます。
メリット④:家族間のコミュニケーションが活発になる
平屋の4つ目のメリットとして、家族間のコミュニケーションが活発になる点も挙げられます。
複数階建ての家だと、家族の個室が上階にあり、なかなか一堂に集まらずに孤立しやすいことが多々あります。しかし、平屋は全室が1フロアに集約されているため、家族の気配を感じながら生活ができます。
また、動線の交わるところにリビング・ダイニングを配置すれば、自然と家族がそこに集まり、コミュニケーションが多く明るい家庭が実現できるでしょう。
メリット⑤:地震に強い
平屋の5つ目のメリットは、地震に強いことです。
地震によって地面が揺れると、建物が高ければ高いほど、振り子の原理で大きく前後左右に揺れ動きます。
平屋は二階建てや三階建てより背が低いため、地震によって揺れにくい構造になっています。また、耐震等級3など十分な耐震性を備えた平屋であれば、より安心して日々を過ごせるでしょう。
やめた方がいい?平屋で注意すべきデメリット
平屋には多くのメリットがありますが、一部デメリットもあります。デメリットの大半は工夫次第で払拭できますが、建ててから後悔しないためには、事前にデメリットの詳細を知っておくことが重要です。
ここでは、平屋の代表的な3種類のデメリットについて、詳細を確認していきましょう。
デメリット①:広い土地が必要
平屋を建てる際は、広い土地が必要な点に注意しましょう。
二階建ての場合、縦に床を重ねられるため、比較的狭い土地でも延べ床面積を確保できます。しかし、平屋で同等の延べ床面積を確保するには、二階建ての場合より広い土地が必要になります。
土地の広さによって、実現できる平屋の間取りや部屋の広さが変わってくるため、土地は慎重に選定することが重要です。
デメリット②:風通しや日当たりに注意が必要
平屋では、風通しや日当たりに注意しましょう。
平屋は縦横に長い間取りになることが多く、特に家の中央付近の風通しや日当たりが悪くなりやすいです。風通しと日当たりが悪いと、快適さが損なわれるだけでなく、カビなどの発生原因にもなり得ます。
なお、家の中央に中庭を設置して、ロの字型やコの字型の家づくりをすることで、日当たりの悪さは解消可能です。また、全館空調や24時間換気などのシステムを導入すれば、風通しについても心配は要らないでしょう。
デメリット③:防犯・プライバシー対策が必要
平屋のデメリットとして、防犯・プライバシー対策が必要な点も覚えておきましょう。
平屋は全室が一階にあるため、外部から見られやすい状態になります。特に庭や窓の付近は周辺から覗かれやすいため、シェードや柵などで目隠しをすると良いでしょう。
また、在宅の有無が分かりやすい家だと、空き巣などに狙われるリスクも生まれます。犯罪被害を防ぐためには、歩くと音がする鳴き砂を庭に撒いたり、人感センサー式のライトを設置したりなどの対策が効果的です。
長く快適に暮らすための平屋のお手入れポイント
平屋は、定期的に手入れをすることで、メンテナンス費用を抑えるだけでなく、家の寿命を延ばして長く快適に暮らせるようになります。
ここでは、平屋で長く快適に暮らすために知っておきたい、お手入れポイントを3種類ご紹介します。
現在平屋で暮らしている人はもちろん、これから平屋を建てる予定の方も、ぜひ参考になさってください。
ポイント①:外壁と屋根の状態を定期的にチェックする
平屋で長く快適に暮らすには、外壁と屋根の状態を定期的にチェックすることがポイントになります。
外壁と屋根には塗装が施されるのが一般的ですが、経年によってひび割れや剥がれが生じることがあります。特に暑い夏や寒い冬は、屋根や外壁に太陽光や気温変化でダメージが与えられ、状態に変化が生じやすくなります。そのため、季節の変わり目などのタイミングで、外壁や屋根の状態を注視することが大切です。
定期的に状態を確認し、早めに適切な修繕工事をおこなえば、少ないメンテナンス費用で家を長持ちさせられるでしょう。
ポイント②:排水口と雨樋を定期的に清掃する
平屋で長く暮らすためには、排水口と雨樋を定期的に清掃することも重要なポイントです。
特に長く雨が降り続いたり、台風が通過したりした後は、排水口や雨樋に詰まりが発生する可能性があります。詰まりを放置すると、適切に流れるべき雨水や生活用水が滞り、平屋の基礎を傷めてしまいます。
平屋は、基礎が駄目になると大がかりな修繕工事が必要になり、最悪の場合は全面建て替えになります。そのような事態に陥らないよう、大雨や台風の後などのタイミングで、定期的に排水口や雨樋を清掃するようにしましょう。
ポイント④:専門業者による定期的な点検を受ける
平屋で長く暮らすためには、専門業者による定期的な点検を受けることも欠かせません。
特に配管や配線など、目に見えない部分の確認はプロでないと厳しいため、大きな損傷などに至らないよう、定期的に点検を依頼しましょう。
また、家の断熱材が経年劣化したり、柱や壁が歪んだりするケースもあります。これらは家を建てた会社が点検するのが一番なので、アフターサービスのしっかりした会社に施工を依頼すると良いでしょう。
まとめ
今回は、平屋のメンテナンス費用が安いかどうかについて、平屋のメリットやデメリット、お手入れのポイントなども含めつつ、詳しく確認してきました。
結論として、平屋は二階建てよりもメンテナンス費用が安く済むことが多いです。そのため、10年20年と長く暮らし続ける想定であれば、平屋を建てた方が高い費用対効果を得られるといえるでしょう。
また、平屋にはバリアフリー化しやすかったり、地震に強かったりなど、多くのメリットがあります。今回ご紹介したことを参考にして、平屋で快適なマイホームを実現させましょう。
大工産は、兵庫県加古川市に本社のある地域密着の工務店です。良質な木材だけを用い、夏は「さっぱり」、冬は「しっとり」、年中快適に過ごす事の出来る住み良い家づくりを得意としております。
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