兵庫県で家づくりをするにあたって、省エネ住宅を検討している方も多いでしょう。
近年、世界的に脱炭素化やカーボンニュートラルの必要性が叫ばれる中、日本においても省エネ住宅の注目度が高まっています。実際、2025年には省エネ住宅であることが新築の条件になることが予定されています。そのため、これから家づくりをするうえでは、省エネ住宅の詳細を理解しておく必要があるでしょう。
今回の記事では、兵庫県で省エネ住宅を建てる方に向けて、省エネ住宅の特徴や種類、使える補助金制度などについて、詳しく解説していきます。
省エネ住宅とは何か知りたい方、省エネ住宅での家づくりに不安がある方は、ぜひ参考になさってください。
省エネ住宅とは?
「省エネ住宅」とは、従来の住宅よりもエネルギー消費が抑えられ、断熱性能などが高い高性能住宅のことです。
省エネ住宅であるか否かを示す基準として、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」が定められています。それによると、主に「外皮性能が高いこと」「一次エネルギー消費量が基準値以下であること」が省エネ住宅の条件になっています。
省エネ住宅は、消費エネルギーが少ないことで地球環境に優しいのはもちろん、そこでの暮らしも快適になる点が特徴的です。
省エネ住宅は2025年に義務化
省エネ住宅は、現在のところ新築時の1つの目標として扱われていますが、世界的に脱炭素化・カーボンニュートラルが叫ばれる中、その重要度は日に日に高まっています。
その結果、2025年4月以降は、原則としてすべての新築住宅を省エネ住宅で建てることが義務となることが決定しています。そのため、それ以降に建てる場合はもちろんですが、今から家づくりをする場合も、なるべく省エネ基準に合致した住宅を建てることが望ましいといえるでしょう。
参考:建築物省エネ法が改正されました(令和4年6月17日公布)|国土交通省
2024年1月以降は省エネ住宅が住宅ローン減税の必須項目に
新築の省エネ住宅化が義務付けられるのは2025年4月からですが、それに先駆ける形で、2024年1月以降は、住宅ローン減税の対象が省エネ住宅のみに限定されました。
これまでは、省エネ住宅でない場合でも3,000万円までは住宅ローン控除の借り入れが可能でしたが、2024年1月以降は基準を満たしていないと借り入れ可能枠が0になります。ただし救済措置として、建築時期を証明する書類の提出があれば、2,000万円までの借り入れが適用可能な場合があります。
2024年4月から「省エネ性能表示制度」がスタート
住宅の省エネ化を推進する施策として、2024年4月からは「省エネ性能表示制度」がスタートしました。
これにより、消費者が物件を選ぶ際に確認できるよう、住宅の販売・賃貸において、エネルギー消費性能や断熱性能などのラベル表示が必要になりました。
対象となるのは2024年4月以降に建築確認申請をした物件ですが、それ以前に申請した物件についても、なるべく表示することが推奨されています。
参考:建築物省エネ法に基づく省エネ性能表示制度事業者向け概要資料|国土交通省
省エネ住宅の性能基準
省エネ住宅の性能基準は、大きく「外皮性能」と「一次エネルギー消費量」によって判断されます。
ここでは、それぞれの詳細について、順に確認していきましょう。
外皮性能
外皮性能とは、建物を覆う外壁や窓、床といった外皮の性能です。より具体的に言うと、室内外の熱を伝わりにくくする「断熱」、太陽からの熱エネルギーを遮る「日射遮蔽」、室内の空気を逃がさないようにする「気密」の3点が重要な要素になります。
これらを示す数値として、「外皮平均熱還流率(UA値)」と「冷暖房の平均日射熱取得率(ηAC値)」が地域ごとに定められています。UA値とηAC値はいずれも、数値が小さいほどに外皮性能が高いことを示します。
一次エネルギー消費量
一次エネルギー消費量とは、冷暖房や照明、換気、給湯などに使われるエネルギー消費を、いかに抑えられているかを示す指標です。
本来一次エネルギーとは、風力や水力など自然から直接取られるエネルギーのことを指します。電気やガスなどはそれぞれ単位がバラバラであり、まとめて考える際はそれらをすべて一次エネルギーに換算する必要があります。そのため、電気やガスなどの消費をまとめて一次エネルギー消費と呼ぶようになりました。
また、太陽光発電などでエネルギーを創出している場合は、その分を差し引いた値を一次エネルギー消費量と捉えます。
建築物省エネ法では、一次エネルギー消費量を「BEI」という基準で考えます。BEIは基準となる一次エネルギー使用量で除した値であり、省エネ住宅においてはBEI≦1.0が適合水準となります。
兵庫県で求められる省エネ住宅の基準値
日本は地域によって気候が大きく変わるため、現在の省エネ基準では、全国を8つに区分したうえで、それぞれのエリアに基準値を定めています。
兵庫県は5番のエリアに区分されるため、UA値は0.87、ηAC値は3.0が基準となります。
このように、ひとくくりに省エネ住宅といっても、地域によって求められる水準が変わってくるので、兵庫県で建てる場合はそれに沿った住宅設計が求められます。
参考・画像出典:住宅の省エネルギー基準|IBEC建築省エネ機構
省エネ住宅の種類
省エネ住宅とひとくくりに言っても、認定条件などによっていくつかの種類に分けられます。
ここでは、代表的な5つの省エネ住宅について、詳細を確認していきましょう。
ZEH住宅
「ZEH住宅」は、年間の一次エネルギー消費量をおおよそゼロにする省エネ住宅を意味します。具体的には、省エネ設備の導入や高機能外皮などによってエネルギー消費を抑え、太陽光発電でエネルギーを創出することで、エネルギー消費の収支をゼロに近づけていきます。
ZEHの正式名称は「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」と言い、略記した状態では「ゼッチ」と読みます。2050年までのカーボンニュートラル実現への手段として、2014年の「エネルギー基本計画」においてZEH住宅の普及が目標に定められました。
ZEH基準は条件によっていくつか種類に分かれていて、ZEH+やNearly ZEH、ZEH Oriented などがあります。
LCCM住宅
「LCCM住宅」は、家が建てられてから解体されるまでのサイクルにおいて、全体のCO2収支をマイナスにする省エネ住宅を意味します。
LCCM住宅は一見すると先述のZEH住宅と似ていますが、目指すところが「年間のエネルギー消費量」から「建設から解体までのCO2排出量」に広がっていて、より厳しい基準が設けられています。
なお、LCCMは「ライフ・サイクル・カーボン・マイナス」の頭文字を取ったもので、そのまま「エルシーシーエム」と読みます。
長期優良住宅
「長期優良住宅」とは、長年にわたって住み続けられるように対策された住宅のことで、2009年に国によって制定されました。
長期優良住宅の基準には、省エネであることのほか、耐震性の高さや劣化対策、維持管理のしやすさなどが含まれています。
従来のように古くなった家屋を取り壊さずに済み、地球環境にも優しい住宅基準であるとして、近年注目を集めています。
スマートハウス
「スマートハウス」は、IT技術を活用することでエネルギーを賢く利用する省エネ住宅を意味します。
具体的には、太陽光発電システムで電気を創出し、それをリチウムイオン蓄電池システムなどに溜め、省エネ設備を使って効率的に利用する流れになります。また、家庭内のエネルギー消費を節約管理する「HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)」を採用し、エネルギー消費を見える化する点も特徴的です。
兵庫県で省エネ住宅を建てる際に使える補助金・助成金
兵庫県で省エネ住宅を建てる際は、国や兵庫県が実施する補助金・助成金制度を使える可能性があります。
ただし、各制度は内容や申請条件などが年度によって変更になったり、早期終了したりすることがあります。そのため、利用を検討する際は、必ずホームページなどで最新情報を確認することが大切です。
ここでは、代表的な国の補助金・助成金制度4つと、兵庫県の制度2つをご紹介します。
子育てエコホーム支援事業
「子育てエコホーム支援事業」は、子育て世帯あるいは若者夫婦世帯を対象に、省エネ住宅の新築・分譲住宅の購入・リフォームを支援する国の補助金制度です。
長期優良住宅やZEH水準住宅に該当するなどの条件を満たせば、新築や分譲住宅の購入で最大100万円が補助されます。また、リフォームの場合は基本20万円を上限として、対象工事の費用が補助されます。
詳しくは「子育てエコホーム支援事業」をご参照ください。
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス実証事業(ZEH支援事業)
「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス実証事業(ZEH支援事業)」は、強化外皮などのZEH基準を満たす省エネ住宅を対象とする、国の補助金制度です。
ZEH・Nearly ZEH・ZEH Orientedのいずれかの要件を満たした場合は55万円、ZEH+かNearly ZEH+の基準を満たした場合は100万円までが補助されます。
詳しくは「ZEH補助金について」をご参照ください。
LCCM住宅整備推進事業
「LCCM住宅整備推進事業」は、LCCM住宅の要件を満たす省エネ住宅を対象とする、国の補助金制度です。
強化外皮基準を満たしている、再生可能エネルギーを導入しているなどの諸条件に合致している住宅を新築する場合、140万円を上限として設計費や工事費を補助してもらえます。
詳しくは「LCCM住宅整備推進事業 概要」をご参照ください。
地域型住宅グリーン化事業
「地域型住宅グリーン化事業」は、木造の省エネ住宅を対象とする、国の補助金制度です。
地域材を使用しているなどの条件に加え、以下3つのいずれかに該当していれば、一戸あたり最大140万円を補助してもらえます。
- 認定長期優良住宅
- ゼロ・エネルギー住宅(ZEH、Nearly ZEH、ZEH Oriented)
- ゼロ・エネルギー住宅型(認定低炭素住宅)
詳しくは「地域型住宅グリーン化事業」をご参照ください。
太陽光発電システム整備助成
「太陽光発電システム整備助成」は、省エネ住宅に太陽光発電システムを設置する工事費用を、最大150万円支給してくれる、兵庫県が実施する助成金制度です。
ただし、こちらの制度を利用できるのは、兵庫県企業庁からワシントン村の土地を購入した方に限られるので注意してください。
安全で快適な家づくり助成
「安全で快適な家づくり助成」は、フラット35Sの技術基準に適合する住宅を対象に、最大100万円を支給してくれる、兵庫県の助成金制度です。
エコキュート、エコジョーズ、エネファーム、ハイブリッド給湯システムのいずれかを設置していることが条件になります。また、先ほどの「太陽光発電システム整備助成」と同様、兵庫県企業庁からワシントン村の土地を購入した方のみが対象となります。
「太陽光発電システム整備助成」と「安全で快適な家づくり助成」について詳しくは、「若年世帯新居購入支援制度ほか助成制度について(カルチャータウンワシントン村)」をご参照ください。
兵庫県内の省エネ住宅の施工実例
最後に、兵庫県の工務店「大工産」がこれまでに手掛けた、おしゃれな省エネ住宅の施工実例を3つご紹介します。
これから兵庫県で省エネ住宅を建てようか検討している方は、ぜひ参考になさってください。
兵庫県内の省エネ住宅①
こちらは、兵庫県小野市に建てられた、和モダンな雰囲気がおしゃれな省エネ住宅です。
家族が常に顔を合わせられるよう、リビング内に階段を設けたり、洗面室をオープンにしたりと工夫した間取りに仕上がっています。
LDKとフラットに繋がったところには、ゆったりした和室が設置されています。キッチンからも視線が届くので、子どもを安心して遊ばせられるスペースになっています。
兵庫県内の省エネ住宅②
こちらは、兵庫県高砂市に建てられた、ロフトのある2階リビングが特徴のおしゃれな省エネ住宅です。
ゆったりと広いロフトはリビングとダイレクトに繋がっていて、固定階段で安全に昇降できます。
壁面には家事や仕事、子どもたちの勉強に使える多目的の造作カウンターを設置し、色々な可能性を楽しめる空間に仕上がっています。
兵庫県内の省エネ住宅③
こちらは、兵庫県加古川市に建てられた、L字型のLDKが開放的な印象の省エネ住宅です。
LDKにある大きな窓の外には、広々とした中庭が広がっていて、カーテンを開けると爽やかな陽光が降り注ぎます。
水まわりを集約させることで、家事動線をできるだけコンパクトにしています。キッチンは既製品を使用しつつも、カウンターは高めのものをこだわって造作することで、唯一無二のおしゃれな雰囲気に仕上がっています。
まとめ
今回は、兵庫県で省エネ住宅を建てる方に向けて、省エネ住宅の特徴や種類、使える補助金制度などについて詳しく確認してきました。
世界的に脱炭素化やカーボンニュートラルが重視される現在、省エネ住宅の重要度も年々高まっていて、2025年4月以降は新築における必須事項になる予定です。そのため、これから兵庫県で家づくりをする際は、省エネ性能の高い住宅を建てることが非常に重要だといえるでしょう。
今回ご紹介したことを参考にして、地球環境にも家族にも優しい、快適な省エネ住宅を実現させましょう。
大工産は、兵庫県加古川市に本社のある地域密着の工務店です。良質な木材だけを用い、夏は「さっぱり」、冬は「しっとり」、年中快適に過ごす事の出来る住み良い家づくりを得意としております。