家づくりをするにあたって、50坪の土地を1つの目安に考えている方も多いでしょう。
しかし、実際に50坪がどれくらいの広さで、そこに建てられる家はどれくらいの大きさなのかが気になるポイントですよね。
今回の記事では、50坪の土地をテーマに、建てられる家の広さや条件、さらに家づくりのコツについて詳しく解説します。
これから50坪の土地でマイホームを建てようか検討している方は、ぜひ参考になさってください。
50坪の土地の広さはどれくらい?
50坪の土地は、平米に換算すると約165㎡、畳だと約100畳(帖)に相当します。
50坪という広さは、日本の住宅地においては、広すぎず狭すぎない中間的な広さだといえます。後述するように、実際に建てる家の広さは建ぺい率や容積率の影響を受けますが、工夫次第で快適な広さの家を建てられる可能性が高いです。
50坪の土地は広い?狭い?
注文住宅を建てるにあたって、50坪の広さが広いか狭いか判断するため、全国的な住宅面積の平均値と比較してみましょう。
2023年のフラット35利用者調査によると、注文住宅の全国平均面積は約119.5㎡(約36坪)とされています。この数値を見る限り、50坪の土地は全国平均を大きく上回っているため、住宅を建てるうえではある程度「広い」と言えるでしょう。
また、広さの感じ方は、家族構成や人数によっても変わってきます。
たとえば、夫婦2人暮らしの場合、50坪の土地があれば、かなり余裕のある家づくりができるでしょう。延床面積も十分に確保できるため、平屋でも広々した家に仕上がります。
4人暮らしのファミリー世帯の場合、LDKに加えて、子ども部屋や収納スペースなどを設けることが可能です。広々というほどではないものの、必要十分な広さを確保できるでしょう。
二世帯住宅の場合、50坪だと手狭に感じられる可能性が高いです。しかし、縦に階数を増やして延床面積を拡張するなどの工夫を施せば、二世帯でも快適に暮らせる家を実現できます。
参考:2023年度 フラット35利用者調査|住宅金融支援機構
50坪の土地に建てられる家の条件
50坪の土地に家を建てる際は、大きく「建ぺい率」と「容積率」という2つの条件によって、建てられる家の大きさが決まります。
それぞれの条件の詳細について、以下で順に確認していきましょう。
建ぺい率
建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積(建物の1階部分の床面積)を示す割合です。
たとえば、建ぺい率50%の場合、50坪の土地では25坪(50坪×0.5)までの家を建てられます。
同じように考え、建ぺい率40%なら最大20坪(50坪×0.4)、建ぺい率30%なら最大15坪(50坪×0.3)の家が建てられます。
建ぺい率および後述する容積率の割合は、用途地域によって定められています。一般的な住宅地では、建ぺい率が30~80%程度に定められていることが多いです。また、高級住宅地などでは、周辺に圧迫感を与えないよう、他の地域より割合が小さくなることが多々あります。
容積率
容積率とは、敷地面積に対する延床面積(建物全体の床面積の合計)の割合です。
前述の建ぺい率との違いが分かりにくいですが、建ぺい率は1階部分だけの床面積、つまり家を上から見た際の面積を表します。それに対して容積率は、各階の床面積の合計、つまり各階を分解して横に並べた際の面積を表します。
たとえば、容積率100%だった場合、50坪の土地では延床面積50坪までの家を建てられます。しかし、平屋の場合は1階のみで50坪となり、建ぺい率が100%になるため、現実的には不可能です。そのため、容積率100%の場合は、2階建てや3階建てなどにして、延床面積を縦に拡張するなどの工夫が求められます。
50坪の土地に建てられる家の広さ
50坪の土地があったとして、実際はどれくらいの広さの家を建てられるのでしょうか。
ここでは、一般的によく見られる建ぺい率・容積率の比率に合わせて、50坪で建てられる家の広さをシミュレーションしていきましょう。
建ぺい率50%・容積率100%の場合
まず、一般的な住宅地で多く見られる「建ぺい率50%、容積率100%」の場合を考えます。
この条件では、敷地面積50坪のうち、建物の1階部分の面積(建築面積)は、25坪まで許可されます。延床面積については、2階建ての場合は50坪(1階25坪+2階25坪)まで確保できるため、比較的広い居住空間を実現可能です。
この条件では、50坪の敷地面積があれば、家族構成やライフスタイルに応じた柔軟な設計が可能です。さらに、駐車場や庭スペースも余裕を持って確保できるでしょう。
建ぺい率40%・容積率80%の場合
高級住宅地などで設定されることの多い「建ぺい率40%、容積率80%」の場合は、1階部分の面積は20坪までに制限され、2階建ての場合でも延床面積は40坪までとなります。
この条件では、平屋建ての場合だと少しコンパクトな設計が求められますが、2階建てであれば居住空間に余裕を持たせることが可能です。また、家以外の土地に余裕が生まれるため、広い庭や開放的な駐車スペースを実現できます。
建ぺい率30%・容積率60%の場合
低層住居専用地域のように建築規制が厳しいエリアでは、「建ぺい率30%、容積率60%」という条件が適用されることがあります。
この場合、1階部分の面積は15坪まで、2階建てであれば延床面積は最大30坪までとなります。
このような制限下では、50坪の敷地面積で快適な住空間を確保するために、設計の工夫が求められます。たとえば、間取りを効率的に配置したり、屋根裏やロフト、地下室などを活用したりして、限られた空間を最大限に活かす方法が有効です。
このように、同じ50坪の土地であっても、建ぺい率や容積率によって、建てられる家の広さや設計の自由度が大きく変わります。そのため、50坪の土地で家づくりをする際は、自分たちの生活スタイルを明確にしたうえで、土地や建物の条件を検討することが重要です。
50坪の土地に建てる家での間取りづくりのコツ
50坪の土地を有効活用し、快適で使い勝手の良いマイホームを実現させるには、間取りづくりが重要です。限られた土地を最大限に活用するためには、効率的な動線や屋外スペースの活用、収納スペースの確保などが欠かせません。
ここでは、50坪の土地に建てる家での間取りづくりの具体的なコツを、3種類ご紹介します。
コンパクトな家事動線を意識する
50坪の土地に建てる家では、コンパクトな家事動線を意識することが重要です。
家事動線とは、料理や洗濯、掃除などの日常的な家事をおこなう際に動く線、つまり移動経路を意味します。
家事動線が長いと、無駄な動きが増え、家事の負担が大きくなります。そのため、50坪の土地に建てる家では、コンパクトで効率的な家事動線を意識することが重要です。
たとえば、洗濯機や物干し場、そして収納スペースまでを一直線に配置することで、洗濯に伴う移動の手間を大幅に削減できます。さらに、アイランドキッチンを採用すれば、料理中に配膳などでリビングと行き来する手間が省けます。また、LDKに家族が自然と集まりやすくなり、コミュニケーションが活性化する効果も得られるでしょう。
屋外スペースを活用する
50坪の土地では、建物だけでなく、庭や駐車場などの屋外スペースを活用することも重要です。
たとえば、庭を家庭菜園やガーデニングスペースとして利用すれば、四季折々の植物に触れられ、リラックス効果を得られるでしょう。お子様やペットと、屋外で遊べるスペースを作るのもおすすめです。その際、周辺に自動車が通る道路がある場合、柵などで飛び出し対策をすることも忘れないようにしましょう。
また、ウッドデッキやテラスを設置すれば、屋外をリビングの延長として使用できます。それに加え、ベランダやバルコニーは、1m以下なら延床面積にカウントされないため、50坪の家を広々活用するのに役立つでしょう。
十分な収納スペースを確保する
50坪の土地に快適な家を建てるには、十分な収納スペースを確保することも重要です。
たとえば、屋根裏やロフト、地下室などを設置し、収納スペースにすると良いでしょう。
屋根裏やロフトは、下階の床面積の2分の1以下など諸条件を満たせば、延床面積にカウントされません。また、建物全体の3分の1以下などの条件を満たせば、地下室も延床面積に含まれずに済みます。
これらの空間を活用し、季節ごとの衣類やレジャー用品など、かさばるが使用頻度が低いものを収納すれば、50坪の家で広々快適に過ごせるでしょう。
また、クローゼットやパントリーなど、用途に応じた収納を各部屋に分けて設置するのも効果的です。特に、キッチン近くにパントリーがあると、食材や調理器具の収納に便利で、家事効率を大きく高めることに繋がります。
このように、収納スペースを計画的に設置することで、50坪の家でも生活空間を広々と快適に使えるようになります。
50坪の土地に建てる家の費用相場
日本国内の注文住宅の坪単価の全国平均は、約68万円とされています。この数字を基準に、延床面積が50坪の住宅を建てると仮定すると、総額はおよそ1700万円~3400万円が目安となります。
ただし、この費用はあくまで建物本体の価格を基にした試算であり、実際には土地の購入費や外構工事費、設計費や税金、保険などの諸費用が追加でかかります。
都市部の場合、平均より土地の価格が高いため、コストが全体的に高まる可能性があります。一方、郊外などは土地の価格が比較的安く、同じ予算でもよりグレードの高い設備を導入したり、間取りを工夫できる可能性が高まります。
また、建築工法や使用する素材によっても、50坪の土地に建てる家の費用は変わります。たとえば、木造在来工法に比べて、鉄筋コンクリート造は坪単価が高くなる傾向にあります。さらに、平屋建ては住宅基礎や屋根の面積が大きくなるため、2階建てと比べてコストが増加することがあります。
50坪の土地に建てる家でおすすめの間取り
最後に、50坪の土地に建てる家で、おすすめの間取りを3例ご紹介します。
これから家づくりをするにあたって、間取りに悩んでいる方は、ぜひ参考になさってください。
おすすめ間取り①
こちらは、コンパクトな家事動線を意識した間取りです。
ポーチから土間、LDKへと繋がる一直線の動線が、家事だけでなく、子どもの遊びやペットの運動など、あらゆる活動における移動を最適化してくれます。
また、こちらの間取りでは収納スペースにもこだわっていて、ファミリークローゼットや玄関収納などの大型収納が多数設置されています。それにより、家族の荷物をすっきりまとめられ、居住空間を常に快適な状態に保てます。
おすすめ間取り②
こちらは、広々としたロフトが特徴的な平屋の間取りです。
家のちょうど中央付近にロフトがあり、アイデア次第で大型収納にしたり、書斎や遊び場として活用したりと、色々な使い方ができます。
階段下の空間はデッドスペースになりがちですが、こちらの間取りでは、そこにシューズインクローゼットを設置することで、空間を無駄なく効率的に活用しています。
おすすめ間取り③
こちらは、収納スペースを多数設け、家事と子育てのしやすさを両立させた間取りです。
ロフトに繋がる階段下を代表に、デッドスペースになりがちな場所を最大限活用し、収納スペースを確保しています。
また、色々な用途に使える大きなロフトは、キッチンで料理しながら視界に収められます。そのため、子どもが小さいうちは遊び場として活用し、その様子を安全に見守れるようになっています。
まとめ
今回は、50坪の土地がどれくらいかをテーマに、建てられる家の大きさや、具体的な間取りなどについて、詳しく確認してきました。
50坪の土地があれば、全国平均より広い、ゆとりのある家を建てられる可能性が高いです。ただし、建ぺい率や容積率などの条件によって、建てられる家の大きさは変わるため、状況に合わせて適切な間取りを考えることが求められます。
今回ご紹介したことを参考にして、50坪の土地で快適なマイホームを実現させましょう。
大工産は、兵庫県加古川市に本社のある地域密着の工務店です。良質な木材だけを用い、夏は「さっぱり」、冬は「しっとり」、年中快適に過ごす事の出来る住み良い家づくりを得意としております。
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