長年住み慣れた家だからこそ、建て替えにするかリフォームにするか悩むものです。どちらを実施するべきか、費用やメリット・デメリットを考えると、判断が難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。建て替えとリフォームには明確な違いがあり、状況に応じて選ぶべき選択肢が異なってきます。
この記事では、建て替えとリフォームの特徴や費用の違いについて詳しく解説するとともに、築年数ごとの建て替えとリフォームの判断基準についてご紹介します。
今まさに建て替えやリフォームをしようか悩んでいる方は、ベストな選択ができるよう、ぜひ本記事を参考になさってください。
住宅の建て替えとは?
住宅の建て替えとは、今建っている既存住宅を取り壊し、基礎から新しい住宅を建てることを意味します。
使い方などの状況にもよりますが、一般的に家の寿命(耐用年数)は30~80年程度とされています。もちろん、適切にメンテナンスを施せば、家の寿命を延ばすことは可能です。反対に、老朽化によって基礎に劣化が生じている場合は、早くに寿命が来て、建て替えをせざるを得なくなることもあります。
また、建て替えによって最新の建築基準に合わせられるため、築年数が古い住宅の場合、安全性を高めるために建て替えが選ばれるケースも多いです。
住宅のリフォームとは?
住宅のリフォームとは、基礎を残したまま、建物の一部を修繕・改修することを意味します。
住宅の基礎がしっかりしている場合、わざわざ建て替えず、リフォームすることで十分に住み心地を改善させられます。リフォームは建て替えに比べてコストが安く、工事期間も短くなるため、それらを重視して選ぶ方も多いです。ただ、実現できる間取りに限界がある点には注意しなければなりません。
なお、ひとくくりにリフォームといっても、大きく部分リフォーム・フルリフォーム・スケルトンリフォームの3種類に分けられます。それぞれの違いは、以下の通りです。
- 部分リフォーム:トイレやキッチンなど、住宅の一部だけを修繕するリフォーム
- フルリフォーム:住宅全体を改修するリフォーム
- スケルトンリフォーム:壁を含め、基礎と構造体以外すべてを解体する大がかりなリフォーム
建て替えとリフォームの違いとは?
建て替えとリフォームの最大の違いは、建物すべてを取り壊して新しくするか、基礎を残すかという点にあります。
また、それに伴って費用や工期、そして建物の寿命にも違いが生じます。ニーズに応じてどちらが適しているかが変わってくるので、違いを理解したうえで検討することが重要です。
以下で、これらの違いについて詳しく確認していきましょう。
違い①:費用
建て替えとリフォームでは、費用に違いが生じます。
まず建て替えの場合、すべて取り壊して基礎から作り直すため、解体や廃材処分に伴う費用に加え、新築を建てるのと同等の費用がかかります。また、税金や登記などの各種手続き、およびそれに伴う支払いも発生します。費用は状況により異なりますが、3,000~5,000万円程度が一般的です。
一方でリフォームの場合は、基礎を残して一部を修繕するため、建て替えに比べて費用が安くなることが多いです。しかし、フルリフォームやスケルトンリフォームの場合は、建て替えと同等かそれ以上の費用がかかるケースもあります。部分リフォームの場合は5~100万円程度、フルリフォームやスケルトンリフォームの場合は1,000~3,000万円程度が一般的な費用です。
違い②:工事期間
建て替えとリフォームは、工事期間においても違いがあります。
まず建て替えの場合、一度解体してから新たに家を建てるため、数ヶ月から半年以上かかるのが一般的です。一方、リフォームの場合は規模の大きさで期間が前後しますが、長くても5ヶ月程度で完了します。部分リフォームであれば、数日から数週間で完了することもあります。
なお、建て替えやスケルトンリフォームを実施する際は、工事の間家で暮らし続けるのが困難になるため、仮住まいを用意しなければならない点も覚えておきましょう。
違い③:建物の寿命
建て替えとリフォームでは、建物の寿命にも違いが生じます。
建て替えをすると新築の家になるため、建物の寿命は一度リセットされ、新たに数十年住み続けることができます。一方、リフォームの場合は基礎がそのまま残るため、建物の寿命は基礎の劣化具合で変わってきます。もしある程度老朽化が進んでいる場合、せっかくリフォームしても建物の寿命が来たり、他の部分で再度リフォームが必要になったりする可能性があります。
そのため、建て替えとリフォームどちらが適切かは、建物の状態を考慮して判断するようにしましょう。
建て替えのメリット・デメリット
建て替えとリフォームには異なるメリット・デメリットがあるので、それぞれを把握したうえで、メリットを最大化できる選択肢を選ぶことが重要です。
ここではまず、建て替えのメリット・デメリットについて、詳細を確認していきましょう。
メリット①:間取りを自由に決められる
建て替えの1つ目のメリットは、間取りを自由に決められる点です。
建て替えでは、もともとの住宅を一旦すべて取り壊すので、土地の広さなどの条件が許す限り、自由に間取りを設計することができます。たとえば、家族構成の変化に合わせて部屋の数を増やしたり、収納スペースを充実させたりすることも可能です。
そのため、既存住宅の間取りに不満がある場合は、建て替えを選ぶメリットが大きいといえるでしょう。
メリット②:耐震化やバリアフリー化がしやすい
建て替えの2つ目のメリットは、耐震化やバリアフリー化がしやすい点です。
日本の耐震基準はこれまで何度か改正されていて、特に1981年の改正が転機となり、1981年以前を「旧耐震」、1981年以降を「新耐震」と呼び分けています。
旧耐震住宅は、大型地震が発生した際に倒壊などに至るリスクが高いですが、耐震補強だけでは十分な耐震性が確保できないケースが多いです。しかし、建て替えで新しく建て直せば、家全体の強度を最新の技術で高められるため、十分な耐震性を確保できます。
また、高齢者などが暮らしやすいように家の段差をなくしたり、浴室やトイレを広くしたりしたくても、リフォームでは限界があります。しかし、建て替えをすれば設計段階でバリアフリー化ができるため、より暮らしやすい家を実現できるでしょう。
デメリット①:新築と同様の手続きが必要
建て替えのデメリットとして、新築と同様の手続きが必要になる点に注意しましょう。
まず建て替えを始める前に、建築確認申請をおこない、自治体から建築許可を得る必要があります。そして建て替えが完了した後は、新たに不動産登記をおこなう必要があり、諸々の手続きに加え、住宅規模に応じて固定資産税も新たにかかってきます。
デメリット②:法令による制限がかかることがある
古い住宅を建て替える場合、現在の建築基準法の基準を満たしていないことで、建て替えができなかったり、住宅サイズに制限がかかったりすることがあります。
たとえば、古い住宅が接道義務(幅員4m以上の道路に間口2m以上接していなければならない)を満たさない場合、道路の幅員確保のためにセットバックが必要です。また、地域ごとに定められている建ぺい率や容積率によっては、希望通りの高さや面積に建て替えられない可能性もあります。
リフォームのメリット・デメリット
建て替えに続いて、ここではリフォームのメリット・デメリットについて、詳細を確認していきましょう。
メリット①:予算やニーズに応じて工事箇所を決められる
リフォームのメリットは、予算やニーズに応じて工事箇所を決められる点です。
たとえば、限られた予算でも、トイレやキッチンなどの生活に不可欠な設備を優先的にリフォームすれば、低予算で住み心地を改善させられます。部分リフォームは、必要に応じて繰り返し実施が可能なため、徐々に家を住み良くしていくことができるでしょう。
メリット②:居住しながら工事できることもある
リフォームのメリットとして、居住しながら工事できる可能性がある点も挙げられます。
前述の建て替えの場合、工事中は家に居住できないため、その間の仮住まいを手配しなければなりません。一方、住宅全体に手を加えないリフォームであれば、工事中も居住を続けられ、日常生活への影響を最小限に抑えられます。
ただし、ほぼ全体に手を加えるフルリフォームや、壁などを取り払うスケルトンリフォームの場合は、建て替えと同様に仮住まいが必要になるため注意しましょう。
デメリット①:工法によって間取りに制限がある
リフォームのデメリットとして、工法によって間取りに制限があることに注意しましょう。
たとえば、ツーバイフォー工法の住宅では、柱ではなく壁で家を支えているため、リフォームでは壁を移動させるような間取り変更ができません。
また、その他の工法でも柱や梁などの重要な部分は残すことが多く、希望する間取りが実現できないことがあります。
そのため、大がかりな間取り変更を伴う場合は、建て替えも視野に入れて検討すると良いでしょう。
デメリット②:結果的に費用が割高になる可能性がある
リフォームは建て替えに比べて、1回の工事費用自体は安く済む傾向にあります。しかし、何度も繰り返すことで、結果的に費用が割高になる可能性があるため注意しましょう。
特に、建物の基礎や構造体が老朽化している場合、リフォームを繰り返しても根本の劣化が改善されません。そのため、せっかくリフォームしても後々建て替えが必要となり、リフォームが無駄になってしまうことも考えられます。
また、フルリフォームやスケルトンリフォームでは、建て替えほどではないにせよ、それに近い金額がかかることもあります。その場合、後になって「建て替えた方が良かった」と後悔するケースもあるため、十分に検討してから実行するようにしましょう。
【築年数別】建て替えかリフォームかの判断基準
建て替えかリフォームかの判断は、住宅の築年数によって基準が変わってきます。
ここでは、多くの方が悩みやすい「築30年」「築40年」「築50年」「築60年」の4つのケースに分けて、最適な選択をシミュレーションしてみましょう。
築30年は建て替えかリフォームか
築30年程度の住宅では、基礎がまだしっかりしているため、リフォームが適している場合が多いです。
もちろん大規模な間取り変更などで、建て替えを選択することも可能ですが、取り壊しや廃材撤去などを含めて多大な費用がかかります。そのため、それぞれの費用対効果を比較したうえで、十分に時間をかけて検討するようにしましょう。
築40年は建て替えかリフォームか
築40年程度の住宅において、建て替えとリフォームのどちらが適しているかは、建物の状態次第で異なります。
基礎や構造がまだ老朽化していない場合は、リフォームで住み心地を十分に改善できます。フルリフォームやスケルトンリフォームも良いですが、建て替えに近い費用がかかるため、住宅の耐用年数を踏まえて検討しましょう。
一方、基礎や構造に劣化が見られる場合は、建て替えが推奨されます。しかし、それほど長く住み続ける予定がない場合は、部分的なリフォームで住み心地を改善させるのも方法もあります。
築50年は建て替えかリフォームか
築50年を超える住宅では、リフォームではなく建て替えが推奨されます。
50年も経つと、たいてい基礎や構造体などのどこかに老朽化が見られます。一見問題ないように見えても、後から一気に状態が悪化し、繰り返しのリフォームが必要になることも少なくありません。
そのため、築50年の家で快適な住み心地に改善させるには、新しい家に建て替えることをおすすめします。
築60年は建て替えかリフォームか
築60年を超える住宅に住み続ける場合は、なるべく早く建て替えを検討されることをおすすめします。
今から60年前となると、最初に耐震基準が改訂された1971年よりも前に建てられたことになるため、小さな地震でも倒壊のリスクがあります。
なお、築40年以上の住宅の場合は、いずれも1981年以降の新耐震基準を満たしていない可能性が高いため、しっかり耐震工事をすることをおすすめします。
まとめ
今回は、建て替えとリフォームの違いをテーマに、それぞれの特徴や費用、選ぶ際の判断基準などについて、詳しく確認してきました。
建て替えとリフォームの最大の違いは、建物を壊して新しく建てるか、既存の建物に修繕を加えるかという点にあります。どちらが適しているかは、予算やニーズ、そして住宅の築年数に応じて変わってくるため、自分で判断し切れない場合は、ハウスメーカーなどの専門家に相談してみると良いでしょう。
大工産は、兵庫県加古川市に本社のある地域密着のハウスメーカーです。良質な木材だけを用い、夏は「さっぱり」、冬は「しっとり」、年中快適に過ごす事の出来る住み良い家づくりを得意としております。
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